3月3日の9時前、〆のうどんが完食され、今年の「モツ鍋の日」が終了した。3つの大鍋が空になったことから、皆の食欲は十分である。モツ鍋の作者(専務取締役)の言によれば、これまで以上に味の統一に力を注いだとのこと。個人的には昨年のような微妙に味が異なる(在る意味で大雑把な)3鍋3様の方がうれしいのだが、今年は許してくれなかった。残念ながら、『一子相伝』のレシピの後継者はまだ決まっていない(専務も先代社長から唯一引き継いでいる)。
3月3日は、正式には昭和44年3月3日に会社が創設された大事な「会社創立記念日」である。今年で47年目となり、もう少しで半世紀の歴史を刻むこととなる。公園町事務所と呼ばれる初代の平屋住宅にて(現社長曰く、ぼろぼろで寒かった)、仕事のねぎらいで仲間と鍋を囲んだという。 今は、増改築をしたので正式には5代目というのか、寿町事務所の大会議室にて全面にブルーシートが敷かれ、そこに3つの車座が出来(椅子を好む若者もいるが、自然と世代別の輪ができる?)、その真ん中に「モツ鍋」が鎮座するのである。「モツ鍋」以外は漬け物とおにぎりのみである(なお、お酒だけは沢山持ち込まれている)。創立当時の心意気を忘れないために続けられている行事である。十勝開拓の祖~依田勉三翁の句『開拓のはじめは豚とひとつ鍋』みたいないい話である。
「モツ鍋」のレシピは明かされていないが、よそった器を見れば一目瞭然である。様々な部位のモツとキャベツのみである。酔った専務から聞くところによると(本当はほとんどお酒が飲めない)、後は水を全く使わずに、日本酒と塩で調理するとのことである。たまたま口にした人の評判も良く、又、この味で北見のグルメ征服をたくらんだ時期もあり?地産地消のイベントなどに大きな寸胴鍋でいくつも提供したこともあるが、今は行っていない。私にとって、「モツ鍋」が食べられるのは、3月3日の「会社創立記念日」のみである。